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シズコ先生は耳元で囁きます。
「本気で好きだったのよ。自分の教え子だからって関係ないわ。教師を辞めたっていいと思ってた。なのにケンヂは、あいつは私の純粋な想いを踏み躙ったの。他に好きな娘がいる、だなんて言って。あり得ない、あり得ない。だから屋上に呼び出して突き落としたの。私の物にならないなら、せめて美しい思い出のまま死ねばいいのよ」
そうか。僕は好きだから殺されたのか――。
次の瞬間、会議室のドアが勢い良く開いて他の先生達がなだれ込んできまし
た。ミサトからシズコ先生を引き剥がして机の上に押し付けました。
ミサトは首に手を当てて、苦しそうに咳き込みます。ヒステリックに叫ぶシズコ先生に、呼吸を整えて、言いました。
「会話は全部録音しました。ケンヂのスマホもあります。教え子を自殺に見せかけて殺しておいて、私たち生徒にいじめ加害者の濡れ衣を着せようとしたこと、私は許しません。罪を償ってください」
シズコ先生はミサトに汚い言葉を浴びせながら、教師達に連れて行かれました。
一人会議室に残ったミサトは、見えないはずの僕の方を見て微笑みました。
「仇はとったよ」
終始強気だったミサトの目が涙に濡れていました。
ありがとう。
僕の言葉はもうミサトには届きません。だから、生前は照れ臭くて言えなかった言葉を投げ掛けました。ずっと好きだった。
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