Ⅰ.特訓

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Ⅰ.特訓

 まずはローゼンと二人でいるという環境に慣れていこう。  ……いや、実際小さい頃から近所に住んでいたし、二人でパーティを組んでダンジョンに挑んだことも何回もある。二人でいるということに違和感など皆無なはずなのだ。  でも、そうじゃなくて。  今は「告白する」という目的を視野に入れた上で二人で過ごすという、少しベクトルの違った『特訓』へと昇華している。  私は架空の依頼を受けたという嘘を吐いてローゼンに協力を要請した。  当然報酬は私のポケットマネーから支払うことになるのだが、これも特訓料だと思えば安いものだ。 「――なあノイ、その『一角(いっかく)バニー』って魔物はどこにいるんだ?」  軽装の革鎧を纏い、大剣を斜めに背負ったローゼンが歩きながら問いかける。私は平静を装って返す。 「バーヘーゲンの森にいるみたいだけど」 「捕獲依頼なんだろ? 斬ったら駄目だよな」 「うん。私が魔法で捕縛するから大丈夫」 「じゃあ俺はなんのために来てるんだよ?」 「え!? まあ、あの、そこまでの護衛……かな」 「護衛いる?」 「護衛いる!」  ローゼンは腑に落ちないといった表情を浮かべながらも、私の前方を歩き始めた。一応前衛として守ってくれるつもりはあるらしい。  数度の戦闘を経ながら進んでいく。  道中に会話自体はするのだが、どうにも告白を意識してしまうと思うような方向に会話が進められなかった。くだらない話や、ローゼンを小馬鹿にするような言葉なら、簡単に出てくるのに。
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