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Ⅱ.恥ずかしいから
私は先日の冒険(自演)で、久方ぶりに<捕縛>の魔法を使ったことで、他にも補助的な魔法を使えるのだということを思い出した。
魔法学校の授業ではこうした妨害や補助の魔法を習ったりしたが、卒業後、実際に仕事で使うのは攻撃や回復の魔法ばかりだったので、すっかりその存在と利便性を忘れていた。
私は埃を被った魔法学校時代の教科書を引っ張り出す。
なにか私の気持ちを伝えるのに、役立つ魔法があるかも知れない。
私はページを捲っていった。
なるほど、<精神錯乱>か。これでローゼンの平常心を奪ってしまえば、あるいはこちらの気持ちを伝えられるかも。
……でもそんな状態のローゼンに気持ちを伝えて何になるのだろう。下手したらヨダレを垂らしている可能性すらある、錯乱状態のローゼン相手に告白なんて、ロマンチックも何もあったもんじゃない。むしろ覚えてもいないだろうし。これは却下だ。
じゃあ、<黒色目隠>なんてどうだろう。
これは対象の視力を一時的に奪う魔法だ。面と向かって目と目が合うから緊張したり、恥ずかしくなったりしてしまうのだ。これでローゼンの目を真っ黒な状態にしてしまえば、その瞳にヤラれることはなくなる。
……けれど、ローゼンからしたら意味不明の状況になる。突然仲間から視界を奪われて、焦っているところに「好きです」とか、受け入れるのは相当にハードルが高そうだ。これも却下。
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