Ⅱ.恥ずかしいから

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 これはどうだろう。<透明人間(インビジブル)>の魔法。  任意の対象の姿や声などを消すことが出来る魔法だ。所謂(いわゆる)透明人間化する魔法と言ったほうが分かり易い。この魔法は解除するのも簡単なので、こちらのタイミングで透明人間から元に戻すことも出来る。  これなら……顔が見えると緊張してしまうローゼン相手にも、告白することが出来るかも知れない。  ローゼンには突然消えてもらうことになるけれど、痛いとかそういうこともないだろうし、もしかしたら気付かないかも知れない。  そうやって姿が消えている間に、私は自分の想いをありったけ叫べば良いのだ。そして、全てを伝え終えたら元に戻す。そして答えを訊く。  少々回りくどいというか、大掛かりというか……。  魔法に頼ってしまう情けない作戦かも知れないけれど、もう、どうしようもないのだ。ローゼンの姿が見えている以上、私は一生、告白の言葉を伝えることが出来ない。  ローゼンを消した理由を問われたとするならば、それは「こうするしかなかったから」、もっと言えば「恥ずかしいから」と答えるしかない。  ……念のため、消えている相手に攻撃されることがあるか確認してみたが、透明化している間は接触すること自体が出来ないらしい。それはそうか。もしそれで攻撃出来たら無敵だもんね。  ないとは思っているが、透明なローゼンに平手打ちなどをされる心配が無いと知った私は、少し安心した。
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