エピローグ:言葉って魔法みたいだ

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エピローグ:言葉って魔法みたいだ

「ノイ、俺と付き合ってくれ」 「……うん」  私が返事をすると、ローゼンは感に堪えないといった様子で微笑んで、私の両肩を抱き、再び唇を重ねた。私もそれに応じて腰に手を回し返す。  今度はそのローゼンの嬉しそうな様子を見ることが出来て嬉しかった。なんなら今この状態で、二人を<捕縛(アレスト)>しちゃおうかな。そんなこと、真剣に考えてしまう。  ……いや、やっぱり魔法は必要ない。  魔法が言葉を話さないから、私が言葉を話した。  言葉で好きだと伝えることが出来た。  そうしたら魔法でも出来なかったような素敵な体験が出来た。  魔法を使っちゃったけど。姿を消しちゃったけど。  はじめから、そんなの必要なかったんだ。  今日私達の関係に変化を与えたのは、紛れもなく『言葉』だ。  『好きだ』の言葉が『好きだ』を生んで、私達の新しい関係性を育んだ。  こんな短時間で、ほんの少しのことで、大きな変化をもたらせるなんて。  言葉ってすごく不思議な力を持っている。  魔法は言葉を話さないけれど、言葉って魔法みたいだ。 ■おわり■
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