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助手席のシーツを倒して俺を寝かせ鼻歌交じりに車に乗り込んだ健翔さんは随分と楽しそうだ。
運転中も俺の姿を見るなり幸せそうにして微笑む姿は傍から見れば美しいとかかっこいい人とか思われているんだろうな…
きっと頬を染めながら周囲は羨ましがっているに違いない。寧ろ自分がこの人の番になりたいだとか思っている人も少なく無いだろう。
が、
然し残念、この人はかなりイカれていると思う。
『ん…』
「寝顔も可愛いなぁ…本当に。」
微笑んでいた筈の目が明らかに鋭くなり、異常な物へと一瞬で変わった。俺を見つめる視線は明らかに純粋な愛情だけでは無い何か含まれた視線。
狂愛。
その言葉が相応しい程の射殺すような目力に見つめられたならば幾ら綺麗な見た目の人間が相手でも恐怖でしかないだろう。
そんな俺の運命がとんでもない相手だと知るのは意外にも早く翌日の事だった。
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