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友人と違和感
二十、大学生、様々なバイトを掛け持ちしており、それなりに貯金はある。
彼女はいない。
それなりに友人もいて、それなりに毎日楽しい。
ただただ、普通の大学生の俺、春間武翔は、最近仲の良い女がいる。
名前は浦野美優
飲みに行く仲になったのはつい最近のことだ。
昔からしっかり認知だけはしていた。
そこそこ顔が良く、明るくポジティブな性格の美優は、仲間内でも一定数の人気を集めていたから。
そして彼女は、お持ち帰りができない女としても有名だった。
そういうのに興味を示し彼女に近づき、気づけば好きになり砕けた男どもが一体何人いたことか。
ちなみに俺は、ただ単に何度か大学の講義で話して仲良くなっていっただけであり、別に興味はさらさらない。
ただ、彼女は聞き上手で愚痴を零すのに都合がいいだけだった。
今日も居酒屋で、美優に愚痴を吐いていた。
「最近さ〜、店長が、きつい仕事ばっか振ってくんの。」
「え、まじ?ちょー大変じゃん。他に変わってくれる人おらんの?」
「皆店長からの圧力で変われん。まじ実家に帰りてぇわ。」
その言葉でふいと思う。
そう言えば、俺は美優の身の上話なんかを全然聞いたことがない。
せいぜい年齢と家族構成くらいしか、、、。
俺はビールの入ったジョッキを傾けながら聞く。
「そういや、お前は実家に帰ったりしないの?」
「あー、、、私はねえ、、、。」
少し沈黙が走る。
何かを考え込んで、ゆっくり答える。
「帰らないよ、てか、帰る気、ないし。」
言葉の節々に多少の違和感を感じたが、いつもより不機嫌そうな彼女の声を聞いてやめた。
美優の印象は、どこか異質で、なにかに恐怖を抱いているような、そんな雰囲気を漂わせた女だった。
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