15.カエレスエィスへの旅路

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15.カエレスエィスへの旅路

「カエレスエィスを目指しているだって?」  男は酒場で相席となった旅人の話を聞き、仰天した。  創造主の末裔と言われる人々が住んでいる地。失われた筈の古代語を操り、今となっては禁じられた『生命に纏わる魔術』をいとも容易く扱う。頭部に生える二対の角が末裔たる証。創世の角と謳われ、まじないに効き妙薬になるとまで言われている。角を手に入れるため、或いは禁じられた魔術を探求するため、稀に()の地を目指す者達はいる。  然れども道は険しい。魔物が棲む海路を越え、異形が彷徨うという谷を抜け──様々な困難の果てにカエレスエィスがある。 「何だってあんな鄙の地へ……あんた魔術師か?」  果ての地を目指すのは、大体が知識欲を持て余した魔術師だという偏見が男にはあった。魔術師ならば危険な旅路を進める可能性も高い。  けれど、旅人は首を横に振る。人の身で、まずは人と魔族の争いが絶えぬ国インサニアを目指し、そこから南の大陸へ渡るつもりだと言う。 「末裔に会ってみたいなと思ったんです。旅の動機なんて案外そんなもんですよ」  男は呆れた声を上げた。あの地の何がそこまで旅人を引き寄せるのかと思えば。真実かも分からぬというに。何故なら此処は交通の要地、かなり栄える宿場町だが──カエレスエィスから帰ってきたという者に、男は未だ会ったことがない。 ▶︎お題【創世の角,禁じられた,引き寄せる】
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