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ひとり戸惑いを見せるあたしの首筋にそっと菖くんが触れる、
「おい、やっぱなんか熱くねえ?心菜、お前熱あんじゃねえの?」
その言葉に、ピクッ、と体が反応する。
そんなあたしの僅かな変化にも気づいて「…、とりあえずうちに連れてくから。もうちょい我慢しろ。」
と、いきなりあたしのことをグッと抱き上げた。
そんなまさかの事態に「きゃっ、、!」と、驚きの声を上げてから、
「あ、菖くんっ!?大丈夫だよ、あたし自分で歩けるからっ」
そう言って降ろしてもらおうとするけど、菖くんがそれを許してはくれなかった。
所謂お姫様抱っこというやつで、菖くんの家までの道のりを進んで行く。
前にもしてもらったことはあったけど、こんな外でなんて恥ずかしすぎる。
最初はそう思っていたのに、ゆらゆらと一定のリズムで揺れる振動がなんだかとても心地良くて、菖くんの肩に凭れかかるように頭を預けた。
そのまま目を閉じて、聞きたいことはいっぱいあるのに、安心する温もりにただ黙って身を委ねてしまった。
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