09.さめない熱

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そのまま、 「結衣のこと言わなかったのは悪かったと思ってる。心菜と一緒に過ごすようになって、結衣への感情が恋ってやつとは違うってことに気づいた。でも今度は心菜に対するこの感情が本当に恋なのか、はっきりとした自信が持てなかった。だから、この関係を利用させてもらって確かめてた。伝えるのが遅くなっちまって悪い。」 そう言い終わってから、あたしの肩を掴んでお互いの顔が見れるくらいのほんの少しの距離を取ると、あたしの頬にそっと手を添えて、 「心菜、好きだ。心菜以外興味すらわかねえし、さっきの電話越しに聞こえてきた男の声に嫉妬なんて馬鹿みてえな感情抱いちまうくらい、どうしようもなく心菜に惚れてる。」 あたしのことが好きだと、あの菖くんがこんなにも沢山の言葉で、態度で伝えてくれている。 それにまた涙が溢れてきて、それを止めることもせず、でもあたしも菖くんに気持ちを伝えたくて口を開く、 「っ、、うん。あたしも、菖くんのことが好きっ、大好きっ、、何をするのも、全部菖くんがいい、菖くんじゃなきゃ、やだよっ、、。」 あたしの頬に添えられていた手に触れて、そこにきゅっと、少しだけ力を込めれば、 「なら、さっさと俺のもんになっちまえよ。俺以外なんて選ぶ気すら起きないくらい甘やかしてやるから。」 なんて、最高に甘い言葉をあたしにプレゼントしてくれる。
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