09.さめない熱

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そっと菖くんへと重ねた唇を離したあと 「ふふっ、それはちょっと欲張りすぎかな?」 と、微笑んでみせた。 そんなあたしの言葉に少しだけ考えるように黙ってから、 「…心菜ほど沢山言葉にはしてやれねえと思う。でも、いつもバカみてえに可愛いって思ってるし、それ以上に心菜のことが好きだって思ってる。、、ってことだけは覚えといて。」 そう言ってあたしの唇に指先で触れると「俺の気持ち、伝わった?」と、柔らかな表情であたしへと問う それに心が、ぎゅううっ、となって無性に菖くんに触れたくなった。 「うん、今ので菖くんがどれだけあたしのことが好きなのか十分伝わった、ありがとね。」 「ん、ならいい。…なあ、しんどかったら言って。無理させねえように努力する。だから、心菜のこと抱いていい?」 さっきまで散々"もうどうなっても知らねえ。"とかなんとか言ってたくせに、結局はあたしのことを気遣ってくれる菖くんが好きだ。
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