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…私はいつまで、一年生の目標とする姿でい続ることができるんだろうか。
でも、澄んだ瞳の期待を裏切りたくない。まっすぐな目を受けて、強く、そう思った。
お互いが、お互いを高めあえるポジションでいられたら良いな。これからも、ずっと……。
「あ、まずい」
温かい沈黙を破って、三宅さんの携帯が華やかな音を立てた。
「なんて?」
「探されてるみたいです、私たち」
メッセージを確認した三宅さんは、そろそろ戻りましょう、と促す。
「よし、走って帰ろう。競争ね」
私は立ち上がって、服についた砂ぼこりを払った。
「良いですよ、何賭けます?……って、わ、ずるい、フライングですって!」
そして、まだ構えていなかった三宅さんの不意をついて、先にダッシュを決め込んだ。
駆けていこう。皆が待っている、私たちの居場所へと。
数年前まで顔も知らなかった人たちと、空気みたいに一緒にいて、笑いあえる場所。
卒業しても、またいつかこうして集まれたらいいな。
そんな思いを胸にしまって、三宅さん少し前を、私は走った。
「じゃあ、どっちが部長の寒いギャグに付き合うか賭ける!」
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