26人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
「誰があれを倒してやってると……」
「いい加減にしてもらえないですかね」
私たちが言い争っているところへ、戻ってきていた柴倉さんが声をかけてきた。
「どっちが無能って、私にいわせればあなたたちふたりとも無能ですよ。
ここは忙しいんですから、さっさと着替えて始末書を書いてください」
「うっ」
柴倉さんが冷たく言い放つ。
それはもっともすぎて返す言葉がなく、その場をあとにした。
控えのブースでシャワーを浴びる。
「ううっ、冷た……」
浴びた液体は普通に洗っても落ちないので、浄水を浴びる。
ほぼ禊ぎなので水のままだ。
あの液体は触れると障りがある。
病気はいいほう、最悪死に至る。
私は伶龍と契約したときに彼の加護がつき、浴びても平気な身体になっていた。
柴倉さんをはじめ現場指揮をしている上のほうの役人は定期的に祈祷を受けているので、少しくらい大丈夫だったりする。
とはいえ一般人は完全アウトなので、あれが出たときは避難命令が出る。
そう。
今、この地域の人間は避難しているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!