第零章 穢れ討伐

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私たちが手順どおりに上手くあれを倒せていれば後始末もあっという間に終わり、人々はすぐに帰宅できる。 しかし今回のように倒せはしたがやり方を失敗すると除染が必要になり、場合によっては何日も避難所暮らしになってしまう。 「……ううっ。 また荒れるな……」 マスメディアは私を、史上最低の巫女と評していた。 この有様では言われるとおりなので、まったく反論できない。 「なんでこんな家に生まれちゃったんだろう……」 私の家、神祇(じんぎ)家は役職として定まった平安時代よりも以前から、この国に降りかかる〝穢れ〟を祓う仕事をしている。 穢れとは人々の負の感情が集まり、形になったものだ。 放っておくと(わざわい)をまき散らし、大災害が起きたり、疫病が流行ったりする。 その役目を負った家の現巫女が私というわけだが、このようにまっっっっっっっったく、上手くいっていない。 「……さむっ」 身体どころか心も寒い。 それはそうだよね、帰ったら現在の家長で上司になる、祖母からのさらなるお叱りが待っているんだもの。
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