第一章 〝さいきょう〟の刀

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日当たりのいいここの縁側はぽかぽか陽気で眠気を誘うだろう。 とはいえ、齢八十を超える曾祖母は、うとうとしていることが多いのだが。 「おまんじゅう、置いとくね。 あとで大ばあちゃんと食べて」 近くのテーブルに持ってきたおまんじゅうのうち、ふたつを置く。 「ありがとうございます」 ぺこりと頭を下げ、彼は曾祖母の元へ行って持っていた毛布を掛けた。 その様子はまるでおばあちゃんと孫といった感じだが、彼もまた曾祖母の刀なのだ。 「大ばあちゃんに相談に乗ってもらおうと思ったんだけどなー」 厳しい祖母とは違い、曾祖母は私を甘やかせてくれた。 それもあって春光(はるみつ)――曾祖母の刀とは兄妹のように育った。 けれど。 「……いつの間にか私のほうが大きくなっちゃったな」 無意識に苦笑いが漏れる。 小さい頃は兄のように慕っていたが、今の見た目では私のほうが完全に年の離れたお姉さんだ。 ――刀は人間の姿を得たときから見た目が変わらない。 契約の巫女が永久の眠りにつき、自身も再び眠りにつくそのときまで。
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