第零章 穢れ討伐

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棒状のものは足のようなもので、これは大きな蜘蛛のような形をしている。 「おとなしくやられろっ!」 無茶を言いながら先に到着していた伶龍が、それに向かって刀を振るっている。 刃がそれに当たるたび、キン、キン、と高い音がした。 靄に見えるアレは無数の蟲で、刀では歯が立たない。 なのに伶龍は無意味に、刀を振るい続けていた。 「ちょ、援護するから!」 周囲を見渡し、視界の開けた場所を素早く探す。 滑り込むようにそこへ移動し、弓をかまえて弦を絞った。 的は大きいので狙いを定める必要はない。 ひゅんと矢が空気を切る音がしたあと。 ――うぉーん! 大きな雄叫びを上げ、それが身を捩ったように見えた。 矢の当たった周辺の蟲が、散っている。 それもそのはず、この矢は対蟲用の術を付加した特殊な矢なのだ。 一度は散った蟲たちだが、またすぐに集まり元の形を作った。 この矢には一時的に蟲を蹴散らす力しかない。 あの中に隠されている、核を破壊しなければ。 すぐに第二射を放ちたいが、私にかまわず刀を振るい続ける伶龍が邪魔だ。
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