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聞こえないようにぼそりと落とした言葉は彼の耳に届いたらしい。
みるみる機嫌が悪くなっていく。
「倒せたんだからいいだろーが」
腰に手を当てて身体を屈め、眉間に力を入れて上目遣いで私をのぞき込んでくる様は、黒スーツと相まってどこぞの組の若い構成員のようだ。
「よくない!
何度私の指示に従ってって言ったらわかるの!?」
しかし負けじと彼を睨み返す。
「オマエの指示とか待ってたら、祓えねーだろーが」
じろりと彼が私を睨めつける。
「うっ」
それは若干、自覚があった。
私が伶龍の動きについていけていないから、彼の足手まといになっている。
わかっている、けれど。
「伶龍だって独断専行がすぎるんだよ!
連携していれば、もっと上手くできるはずだし!」
あれの動きは速くない。
あそこまで焦る必要はないはずだ。
それに伶龍が私の指示に従って避けていてくれればもっと速く蟲を蹴散らして核を露出させられた。
「れんけいぃ?」
伶龍の声が不満そうに上がっていく。
「俺に矢を当てたヤツが言う台詞かよ」
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