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見せつけるように彼は頬の傷を私の目もとに寄せ、凄んできた。
「そ、それは申し訳なく、思ってオリマス……」
矢を当てた本人としては気まずく、言葉はしどろもどろになって消えていく。
しかしあれは、本当に私が悪いのだろうか。
「でもさ!」
一度は下がった頭だが、勢いよく上げてレンズ越しに彼と目をあわせる。
「伶龍だって避けてて言ってるのに、全然おかまいなしだしさ。
伶龍が邪魔で、なかなか矢が射れないんですけど!」
「うっせーな」
私が文句を言ったところで伶龍は、高圧的に私を見下ろしてきた。
「だいたいオメーは俺がアイツを倒すための補佐だろーがよ。
なら、俺が戦いやすいようにするのが役目じゃねぇのか、ああっ?」
腕を組んで仁王立ちの彼は尊大で、本当に偉そうだ。
その姿に私の忍耐がぶち切れた。
「あんたみたいな自分勝手な刀、補佐するこっちの身にもなってよね!
突っ込んでいくしか能がない、無能のくせに!」
「なんだと!」
胸もとの襟を掴み、伶龍が私を立たせる。
おかげで軽く、足が宙に浮いた。
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