カウントダウンの時計、カチリ

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カウントダウンの時計、カチリ

 カウントダウンの時計の音は、ずいぶん大きく、近くに聞こえてくるようになった。 カチリ、カチリという音に、追い立てられる。 もう終わりは、すぐそこまで来ている。  カチリ、カチリという音から、逃げるように、春馬は、大智に手を伸ばす。 会える日はいつだって、毎晩のように、大智の身体に手を絡める。 キスを強請って、腰をくねらせる。 わずかな時間でも、ほんの少しの間でも、大智と一緒に居たかった。 その体温を、感触を、刻み付けて、憶えておきたった。  もう、どのくらい泣いただろう。 身体中の水分は、なくなってしまったのではないかとおもうほど、泣いた。 泣いても、泣いても、まだ、涙が溢れた。  人間って奴は、不思議な生き物だ。 諦めようと、思えば、思うほど、諦めきれないし。 忘れてしまおうと、思えば、思うほど、鮮明に思い出す。  あんなに後悔したのに、また、愛してしまった。  なんて、愚かなんだろう。  春馬は、何もかも投げ出して、小さく蹲った。
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