私の嫌いな人はいない

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 ある日、またいつものように話しかけられた。  「ほんと誰であっても態度は変えないよね。嫌いな人はいないの」  「私、嫌いな人はこの世界には存在してないから」  「またまた、そんな人なかなかいないよ。ほんとすごいね」  「そんなことないよ。偉くもなんともない」  「確かに、私と違って嫌な思いさせられたことなさそうだもんね」  「そうかな」  「そうだよ。良いな。羨ましいよ。私もあなたみたいだったらいいのに」  私の悲しみや辛さは理解されないことだと分かっているのに、いい表せないほどの悔しさを感じた。そして、目の前にいるあなたにどうしようもないほどの怒りが湧いた。  目を開けるとさっきまで話して話していたあなたの姿は、どこにもなかった。  また、やってしまった。
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