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「オーラルは、ここで見張っていてくれる?」
「え?」
「あと何かあると困るから、僕とロイルの信頼おける近衛も幾人か集めておいてね」
「いえ、私も一緒に」
「だめだよ。不測の事態のためには、何よりも信頼がおける見張りが必要なの。それはわかっているよね? オーラル」
イハノの次にクリララを抱き上げたロイルが降り始めた頃、ケイルは最後尾に控えているオーラルに言い含めている。
「……かしこまりました。それでは道中、お気をつけてくださいませ」
「わかっているよ。じゃあ、頼むね」
ケイルは、オーラルの両肩を軽く叩いたあと、降りて行く三人を追った。
クリララは、どうにかロイルの両腕から降りようと試みたが、押さえ込まれている上にむやみに動いては危険だと察知したので、彼に従うしかなった。
諦めてその身を預けている従順なクリララに気づいたのか、ロイルは満足げに口の端を歪めている。
降りた階段から間違いなく地下だと思われるところでぐっと天井が低くなっていた。
かなり降りてから突然少し広いところに出て、すぐ近くに立派な扉が見えてきた
イハノは、その目の前へ立ち止まり、魔術を扱う敏感な左手を扉へ添えて瞼を閉じた。
神妙な顔で、イハノの様子を三人は見ている。
「何もない異常はありませんね。では扉を開けますが、よろしいですか?」
探索を終えたのか、目を開けたイハノは振り返ってロイルとケイルに指示を仰いだ。
「構わない。イハノ、扉を開けろ」
「あの、ロイル様。それは私がします!」
静観していたクリララだが意を決して宣言し、ロイルの腕から降りようと試みたが、彼の胸奥へ押し込まれてしまう。
「危ないし、クリララは静かにしていろ」
「そうそう」
「でも!」
「イハノ、構わぬ。開けろ」
「はい。では」
イハノは、ロイルの合図に応じて扉を開けた。
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