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第一章 惑う現実
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クリララは、亡き父王がどこかに隠してしまった亡き母の身柄を探し出し、きちんと輪廻転生できるように浄化したいと、帝国の双子王子に協力を要請していた。
それゆえに、三人でその母に会いに行こうというまだ果たしていない約束を思い出したクリララは、マンテマ小王国へ訪れる。
その間、マンテマ王族の残党からクリララを救い出し庇護してくれたセードは、私事情により彼女から離れていた。
マンテマ小王国の城下町の一角、そこの宿屋にある自室として使用している寝室に、クリララは一人戻っていた。
クリララは、長めの黒茶のローブを身に纏い目深くフードを被っている。
クリララが薄暗い部屋のランプを灯すと、明かりが宿屋の一室らしい質素な室内を暖かく照らし出す。
クリララは、目の前の寝台に歩み寄って力なく座りこぼれ落ちた白緑の髪をかきあげた。
こうべ垂れる視線の先にある左手は、右手にはない真っ白な手袋がはまっている。
それは、ぼんやりとした灯りの中で白く浮き上がっていた。
クリララを救い出してくれたセードは、彼の父親が亡くなったことにより自国へ帰国し、今は彼女のそばにはいなかった。
セードがクリララを連れて行くには複雑な事情があり、彼が躊躇われたことにより二人はいったん離れることになった。
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