LOST TASTE

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カスミは思う。 腹いっぱい?絶対に嘘だ。 そんなの人生の腹ぺこ状態じゃないか。 胡散臭い健康食品みたいに自分を騙してるだけで味気無いじゃないか。 この人は、口にするのも面倒ないろんな物に餓えている。 それに確かに満腹になったし便利だけど、毎日これで食事を済ませているとしたら、人生の何割もの大損をしている。 もぐもぐ噛んで、うんうんと味わって、ごっくんごっくん喉を鳴らして飲み込んで。 お行儀悪いけど、あー食った食ったもう無理だと寝っ転がる。それがご飯を食べる幸せではないだろうか。 「たまには山を下りて美味しい物を食べに行ったりしないんですか?」 すると彼は不思議そうな顔で答えた。 「えっ?……お、おい、しい?って言った? それは何だい?」 「えええええええええええ!?」 有り得ない、そんなのダメ、人として見過ごせない。 美味しいという感覚を知らないなんてっ! 「仙人さん!」 カスミの大声に仙人さんも動物達もびっくり。 「今度、またここに来ます! 今日のお礼に何かご馳走させてください!!」 あれ、どうしたんだろう。 面倒臭くない。
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