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「へえ……、それじゃ、その魔法使いの女の子を捜してるってわけね」
「心当たりはないか」
「うーん、金髪の赤い瞳でしょ。それはもうリルコットしかいないわよ」
「リルコット?」
バンクの質問には答えず、リアがコーヒーを指さし「砂糖入れるわね」と、リアが細長い袋とスプーンを棚から出し、袋の上の方を破りカップに切り口を向ける。さらさらさらと白い粉が入っていく。リアがスプーンでカップの中をくるくるとかき混ぜると、バンクに差し出し、まあバンクの向かいに座る。
「何を入れたんだ」
「だから、砂糖を入れたのよ」
「砂糖?」
「あなた砂糖も知らないの? さすが五百年も洞窟にいただけのことはあるわね」
リアが呆れにも似た声を出すとバンクはムッとした。
「元々人間とは違う食べ物を食べてきているんだ。知らないのも無理はないだろう」
「あなたお友達から本を借りたこともあるんでしょ。何も聞かなかったのね」
「本といっても人間とモンスターが戦う話だ。しかもほとんどモンスターが悪者扱いだ。あいつの趣味はよく分からない」
バンクはカップを持ち上げると、恐る恐るコーヒーをすすった。なるほど今度は甘い感じでわりと飲みやすい。
――って、最初からこれを入れろよ。
「飲みやすくなったでしょ?」
「……」
バンクは答えるのも癪なのでそのまま黙ってコーヒーをすすった。リアが頬杖をつきながらバンクをいたずらっぽい目で見ていた。
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