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第一話 バンクの失態
「はあ、退屈だ……」
バンクは洞窟の宝の番人をしている人型のモンスターだ。体が青い以外はほとんど見た目は人間に近い格好、らしい。だが人間よりも遥かに長生きである。番人の任務にあたってから今日でちょうど五百年目だ。人間でいうと、……何年くらいだろう。
「しかし、今までこの宝を取りに来た奴なんて、一人もいないんだよなあ。番する必要なんてあるのか?」
そんなことを言っていた時だった。
「そうやって油断しているときにこそ宝を取りにくる輩がいるのよ」
「! だ、誰だ!?」
バンクは突如聞こえてきた声に反応するが、相手の姿は見えない。
「……気のせいか?」
「ふふ、宝は私がいただいていくわね」
後ろから聞こえた声に慌てて振り向くと、緑色のマントに身を包む金髪の女が笑みを浮かべていた。
しかし箱には鍵がかかっている。バンクはさっさとこの女を追い出そうと思った。しかし。
「それじゃ」
「あ、おい!」
女は宝箱を持ち去って、その場から消え去った。
「……何故、箱ごと持っていくんだ。というか、鍵がないと箱は開かないぞ」
バンクは、自分のポケットに入れていた鍵を取り出して呟いた。
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