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「ごめん、俺たち、もう別れよう。」
12月23日。
私たちは、恋人として初めてのクリスマスを迎えることなく別れを迎えることとなった。
「え……?」
昨日までは、普通に話して、お互いに笑い合っていたのに。
なぜ、彼は私のことが嫌いになってしまったのか。
「どうして? 理由が分からなければ納得できない。私……ずっと一緒に居たいよ。」
彼と付き合うために、私は必死に女を磨いた。
ダイエット、美容に関する勉強、雑誌を読み漁ってファッションの研究……。
その努力が実って、ようやく彼と付き合うことが出来たと思ったのに。
趣味も、彼に合わせるように勉強した。
彼はゲームが好きだったから、同じゲームを買い、練習し、彼に合わせられるようにもなった。
共通の話題もでき、楽しい日々を送っていた。
……はずなのに、なぜ?
「もう、限界なんだ。」
彼は、絞り出すような声で、私に言う。
「毎日毎日、食べる量が半端ないだろ? 食べても食べてもお腹空いたって……付き合って吐きそうになる毎日はもう、うんざりなんだ。それに……出会った頃と比べて、何キロ増えた? あの頃の写真を見て、愕然としたよ……。」
「あ……」
それか、と私は思った。
そこに神経が回っていなかった。
付き合うことがゴールだと思い、その後はあまりにも自然体でいすぎたのかもしれない。
そう、私は人よりも『少しだけ』よく食べる。
しょっちゅうお腹が空いてしまい、気が付くと常に何かを食べているような女なのだ。
「もう、耐えられない……。」
完全に不覚だった。
彼が優しすぎて、自然体でいた私は、食のことまで自然体になってしまっていたのだ。
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