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(何やってるんだろうな…)
青い湖のほとりに腰を降ろし、僕はその静かな湖面に石を投げ入れた。
小さな音と共に、湖には波紋が広がった。
そんなもの、あるわけがない。
ただの伝説だ。
真実であるはずがない。
理性ではわかっていた。
だけど、僕にはそれを信じることしか出来なかったんだ。
信じないと、自分自身を保てなかったから。
僕の恋人、サーシャは病におかされていた。
それは突然のことだった。
いつも元気だった彼女が不調を口にして、それからほんの数ヶ月で、もう立ち上がることさえ出来ない状態になっていた。
医者は、治す手立てはないと言った。
このまま、静かに死を待つしかないのだと。
そんな馬鹿な話があるか?
彼女はまだ22歳だ。
僕と知り合ったのが2年前。
その頃はまだ元気で、なんの問題もなく、僕たちはお互いを知る毎に愛を育んでいった。
そして、結婚を考えるようになって、急にこんな事になるなんて。
あんまりだ…
僕はどうしたら良いんだ?
ただ、じっと、彼女が天に召される日を待つしかないのか?
そんなこと、我慢出来ない。
僕は、どんな手を使っても、彼女を救いたいと思った。
腕の良い医者を求めて奔走し、良く効く薬を探し、挙句には祈祷師にまで頼んだが、彼女の容態が良くなることはなかった。
そんな時、僕はある人物から話を聞いた。
流れ星の欠片を飲ませれば、どんな病気も治る、と。
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