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そんな…流れ星をみつけるだけでも難しいのに、たまたまその流れ星が落ちたところを探し、欠片をみつけるなんて、ほぼ、不可能じゃないか。
そう、そんなものはただの伝説だ。
でたらめに過ぎない。
そうは思うのだけど、僕が今すがれるものはそれしかない。
日々、痩せてやつれていくサーシャを見るのが辛くて、僕はそんなありもしないものを探しに旅に出た。
なんて意気地無しなんだ。
「絶対にみつけるから。」
そんなことは不可能だと知りながら、僕はそう言った。
「ありがとう。
私、待ってるから。
あなたが戻るまで、絶対に死なない。」
その言葉が本心だったのか、僕を安心させるための優しい嘘なのかはわからない。
たとえ、本心だったとしても、本当にそう出来るかどうかはわからないのだ。
いや……多分、無理だろう。
僕は、彼女の最期を見るのが辛すぎて、逃げたんだ。
暫く旅をして、だめだったよって戻ったら、その時にはもうサーシャはいなくて…
きっと、そうなることを予測しながら、望みながら、僕は旅に出た。
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