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 ただ見ているだけで良い。  声を聞いているだけで良い。  そういう片想いを望んでいた。  それなのに…昨日の放課後、昇降口を出た所で光永が俺に向かって突然「好きです」と言った。 「笑えない冗談…やめてくれ」  俺は声が震えない様に感情を抑え込んで、そう言った。  ふざけんなよ…  そう思った。  好きな子に「好きです」って言われてこんな気持ちになるヤツなんて、世界中探しても俺くらいしかいないよな。  周りに誰もいなくて良かった。  誰にも知られずに済んで良かった。  このまま溶けて消えてしまいたい…そんな風に思うくらいに鮮やかな夕焼けだった。
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