モブなゾンビとギルティフード

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 相手も全力で警戒してんだから当たり前だけど、私たちはすぐに見つかった。 「止まれ! 何だ、貴様たちは?!」  敵が銃を構える金属音がする。ちょっと冷っとするが、まあいいか。被弾するのは盾になってるモブ男だし。 「ゾンビだ! 火炎放射器、持ってこーい!」 「あ、怪しい者ではござらぬ! ただのゾンビでござるゆえぇあ! 火炙りは勘弁願いたくぅえあ!」  正直なヤツめ。そんなの怪しいに決まってんだろーがよ。ほれ、さっさとウェルダンになっとけや。私はその隙に逞しい自衛隊員の脛でも齧って逃げるから。 「会話ができるゾンビだと?! 待て! お前たちは意思疎通ができるのか?」  敵の声色が変わったのを聞き、私は足を止めて盾にしていたモブ男を下ろした。何か様子がおかしい。 「お前たち、我々の言うことが分かるのか?」  火炎放射器は構えたままだが。 「分かる! 分かるでござる! だから何卒ご勘弁を!」  あー、盾のうるさいこと。だが会話のできるできないで待遇が違うようだ。 「そっちのゾンビもか? 会話はできるのか?」  どうやら私のことらしい。 「え? あ、はい。会話、できますけど!」  ここは油断を誘うべきだろう。 「そうか。ならばお前たちは『第5世代』以降だな。着いてこい。医師から説明してもらうから」 「医師? 第5世代?」  モブ男と顔を見合わせる。多分、ねずみ算的な世代交代を指しているのだろう。世代が進むとゾンビ色が薄まるとかあるのか?  意味が分からないが、私たちは連れだって迷彩柄の大きなテント小屋の中へと入っていった。 「あのー」  何が何やら。 「君たちは他のゾンビたちから逃げてきたんだね? 世代の古いゾンビは若い世代のゾンビを捕食するから」  え? そうなの? 知らなかった……意外とヤバかったんだな。 「いや、実はこっちの存田殿が人……むぐっ!」  慌ててモブ男の口へ拳を突っ込む。馬鹿正直すぎるだろーが、ボケ! 「ええっと、はい、そうです! 逃げてきました!」  モブ男が何か言いたそうだが、ここは優等生ぶっておくべきであろう。 「それは怖かったろうな。何しろ第2世代までは極めて凶暴だからな」  医師は勝手に頷いていた。しかしそれはそうとして、私らに今さら医者なんか用事はないと思うのだが。と、思っていたら。 「今はまだ研究途上だが、未成年の第5世代以降なら腐食進行を止めて再生治療が可能だと分かっているんだ。時間は掛かるかも知れないがね」 「まじっすか?!」  目を見開いてモブ男と顔を見合わせる。 「え?! 人間に戻れる? 冗談抜きで?!」  いやー、防衛だけでなくそんな研究まで進んでいたとは。しかもこの短期間で。……人間も侮れんな。
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