6.

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6.

 ある晴れた日。 ブルーの帽子を被ったおじさんが、トラックから降りてタバコを吸いに来た。  そばまで来たおじさんはぼくを見つけるなり、目を細めた。  それからぼくを持ち上げると、黄色い歯をニッと見せて笑った。  「こいつぁ、ラッキーだ。噂には聞いてたんだ、ラインのミスで星のボタンが付いたポピィがいるってな!コイツはプレミアが付くぞ!」  ぼくはウキウキのおじさんにトラックに乗せられて、あっという間に街まで来た。  小さなお店に入ると、おじさんはお金と引き替えにぼくを置いてった。  ぼくはまた、古くさい電話器や、とっくに止まった時計と一緒に、ほこりっぽい棚の上に放り出された。
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