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 女の子はミミィという名前だった。とってもステキなお名前。  おまけにとってもものしりで、いつも色んなことを教えてくれた。  ここは”工場”という大きな建物の中で、ぼくたちはみんなここで作られたんだって。  工場の中では、ぼくやミミィにそっくりな子が毎日たくさん作られてるって聞いたときには、びっくりしたよ。  「なかでもわたし達は特別よ。この部屋に来たのは、”てんごく”へ行くために選ばれた子たちなの」  なんでかみんなはその”てんごく”という名前を口にすると、うっとりと楽しそうな顔になる。  ロボットのビーモも、恐竜のレックスもそうだ。  キャンディみたいに甘い味のする言葉なのかな。  ミミィなんかは片方しかない手をほっぺたに当てて幸せそうにする。  ミミィには左の腕がなかった。  「知らないわ。生まれたときからこうだもの」  他のみんなも同じ。レックスには尻尾がないし、ビーモは両方の足が後ろ向きに付いちゃってる。  なぜかは知らないけど、こうやって何かが足りなかったり、余計だったりする子が、「特別に」この部屋にやってくるみたい。
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