初恋

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気持ちを紛らわすためにつけているバラエティー番組の上の部分に台風情報が流れてきて、新幹線はもちろん、電車が止まった所も。高速道路も閉鎖。激しい雨と風の台風はこれから通過するところ。もっと激しくなるのかなと思うと、一人で過ごすには正直、心細いと思ったときに、兄は帰ってきた。 私がこの部屋にいるのを知っているかのよに、ドアを開けると同時に「智草、大丈夫?」と言い、お酒を飲んでいるみたいな赤らんだ顔で、ちょっとおぼつかない足取りなのか、それだけ急いでいるのか、なだれ込むようにベッドに寄りかかり膝を抱えて座る私を抱きしめた。
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