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「ただいま~、おなか空いた。」  小林家の息子、大樹と大河は「ただいま」とセットで、もれなく「おなか空いた。」がついてくる。  二人共ランドセルを放り出し、手を洗って、さっさと食卓に着く。    真由美はいつも「おやつ」にはゆかりのおにぎりを握っておく。  一人幾つなんて数えていられない。残った分のご飯でできるだけの数を握っておく。息子たちもおにぎりが無くなればおやつは終わりだと思っている。  夕ご飯にご飯を多めに炊いても、朝までには息子二人か夫が食べてしまって無くなっているので、必ず朝にも炊くことにしている。  炊飯ジャーが二つあるのだ。  朝ごはん用の分は5合炊き。  夕ご飯の分は1升炊き。  4人家族には多いご飯の消費量だとは思うのだが、ご飯くらいたくさん食べさせてあげたいとも思う。  お米は真由美の母の実家が大きな農家なので、子供がたくさん食べる小林家には定期的にお米を10Kg単位で年に何度も送ってくれる。  それでも足りない時には買う事になるのだが、普段お米を買わないので、お米の高さに驚かせられる。  いつも送ってもらっているお米が本当にありがたく思える一瞬だ。  朝の食事をごはんかパンにするのかはその日の気分でみんなが勝手に選ぶ。   ご飯の人は自分でよそうし、パンの人は自分で食べたいだけパンを焼く。  真由美はソーセージを各自2本と目玉焼きを人数分焼いて、食卓に出す。  朝に全員がご飯だと、おやつの分のおにぎりは失くなってしまうので、ご飯は炊きなおすことになる。その時は真由美のお昼ご飯も一緒に炊く。  おやつにおにぎりなど食べさせると、夕食が入らなくなるのでは?と心配されるのだが、おやつをしっかり食べさせておかないと、夕食の準備をしている時に、おかずが次々に消えてしまい、食卓におかずが無くなってしまうのだ。  男の子なのに食が細くて。なんて、いうご近所さんもいるけれど、そんな心配をすることもないほど、モリモリ食べる。  男の子は身体が弱いから。という昔の人の心配も関係ないほど丈夫な息子たち。  小さい時には好き嫌いもあったが、小学生になる頃から給食のおかげもあるのか、何でもおいしく食べてくれるようになった。    息子たちの学校は地産地消の考えで、給食には地元の美味しい野菜を使っている。  年に一度父母にも給食解放の日がある時に真由美も食べに行くのだが、毎回とても美味しい。  昔のボソボソとしたコッペパンの給食に苦労させられた真由美には信じられない程美味しい給食なのだ。  献立を見ても為になる。  レタスなど、火を入れて使うこと等思いつかなかった真由美だが、レタスのスープが丁度給食解放の日に出たことがあって、それがとても美味しかった。  それからはレタスのスープやみそ汁。炒め物なども作るようになった。  レタスは足が速いので、このメニューはとても助かったし、息子たちも喜んで食べてくれる。  真由美は息子たちが帰宅してからは、とにかく午後3時位からずっと食事の準備をしている。  準備に時間がかかる豚の角煮、ゆで卵は絶対に入れてね。と言われるのでその手間もかかる。  どんなに手間のかかる料理を作っても、食べ終わるのには10分もあれば十分だ。  でも、ご飯をお代わりしながらどのおかずも綺麗に無くなっているのを見ると、作った甲斐もあるというものだ。  真由美は子供の「ただいま。おなか空いた。」の声を聞くと、何となくニヤニヤしてしまうのだ。   『今日も我が家の怪獣たちが帰ってきたな。さぁ、怪獣退治の時間だよ。』 【了】
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