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そして、文化祭初日。
「なんか、結構な人数いるんだけど」
サカキの言葉どおり、これから僕らがステージ発表を行う多目的教室には、かなりの人数が集まってきていた。
「女子率高いから、ほとんどサカキ目的じゃね?」
「うん、そうかも」
元々の顔立ちがいいサカキは、どうしたって人の目を引く。
でも、そういうの、サカキ本人は苦手なんじゃないかな?
「サカキ、今さらだけど、イヤじゃない?」
「ううん。ここまでやると、むしろ反応が楽しみかな」
サカキがあっけらかんとそう答えてくれて、僕はほっと胸をなでおろす。
「……で、かくいうミッチはどうなの?さっきから表情かたいけど」
「予想以上に人がいて、ちょっと緊張してるかも」
これだけ多いと、中には野次ったり、バカにする人だっているかも知れない。
そんな想像が、僕の足をすくませる。
「大丈夫さ。今日のミッチ、めちゃくちゃイケてるんだから」
「そうそう。せっかくキレイな格好してるんだから、楽しまなくちゃ損だよ」
でも、サトキンとサカキがいれば、一歩を踏み出す勇気を持てる気がするんだ。
「うん。……そうだね」
「そろそろ時間だ」
僕らは輪になって、手を繋ぐ。
「こっちが照れると、観てる側もしらけるからさ、思いきりはっちゃけようぜ」
サトキンがニカッと笑う。
「……っし、いくぞーっ!!」
僕とサカキも笑顔で応えた。
「おーっ!!」
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