虹色のミッチ

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 そして、文化祭初日。 「なんか、結構な人数いるんだけど」 サカキの言葉どおり、これから僕らがステージ発表を行う多目的教室には、かなりの人数が集まってきていた。 「女子率高いから、ほとんどサカキ目的じゃね?」 「うん、そうかも」 元々の顔立ちがいいサカキは、どうしたって人の目を引く。 でも、そういうの、サカキ本人は苦手なんじゃないかな? 「サカキ、今さらだけど、イヤじゃない?」 「ううん。ここまでやると、むしろ反応が楽しみかな」 サカキがあっけらかんとそう答えてくれて、僕はほっと胸をなでおろす。 「……で、かくいうミッチはどうなの?さっきから表情かたいけど」 「予想以上に人がいて、ちょっと緊張してるかも」  これだけ多いと、中には野次ったり、バカにする人だっているかも知れない。 そんな想像が、僕の足をすくませる。 「大丈夫さ。今日のミッチ、めちゃくちゃイケてるんだから」 「そうそう。せっかくキレイな格好してるんだから、楽しまなくちゃ損だよ」 でも、サトキンとサカキがいれば、一歩を踏み出す勇気を持てる気がするんだ。 「うん。……そうだね」 「そろそろ時間だ」  僕らは輪になって、手を繋ぐ。 「こっちが照れると、観てる側もしらけるからさ、思いきりはっちゃけようぜ」 サトキンがニカッと笑う。 「……っし、いくぞーっ!!」 僕とサカキも笑顔で応えた。 「おーっ!!」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加