虹色のミッチ

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虹色のミッチ

 小さな頃から、キレイでかわいいものが好きだった。 たとえば、女の子たちがつけてる、かわいい飾りがついた髪ゴムとか、ふわふわしたシュシュとか。 ランドセルだって、水色のかわいい飾りがついたのが欲しかったのに、「男の子らしいのを選んだ方がいい」って、親に却下された。  この時僕は、はじめて気づいたんだ。 男の子は、キレイでかわいいものが好き、であるべきじゃないんだな、って。 多様性の時代なんて言っても、結局のところ“普通”な方が生きやすい。 このせまい田舎町なら、なおさらのこと。 そんな親の気持ちもわからなくはないから、僕は本当の自分を隠そうと努力してきた。  ……でも。 3人のドラァグクイーンが旅するロードムービー。 どぎついメイクに華やかなドレス。 ステージの上、口パクで歌う3人の姿は、キラキラ輝いていて、僕はこう思ったんだ。 いつか、あの3人みたいに、堂々と、自分らしく生きてみたい、って。
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