第一話 相棒ダウジング

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 三日前。〈組合〉は全受験者に追加受験資格についての知らせを送ったらしい。それによれば「加入試験は二人以上五人以下のグループに限るため、あらかじめ受験者同士でグループを組むように」などとあったらしい。  しかし、アタシは三日前と言えば絶賛日雇いの仕事で留守にしていた。  受験に当たって使用させてもらった住所は、アタシが懇意にしてもらってる探偵事務所の住所なのだが、そこのみんなは一週間前から遠方へ依頼だとかで出かけてしまっていて、事務所には鍵が掛かっている。アタシが知る由もないのだ。  もちろん、組合は国の内外からわざわざ受験しに来ている人が多い。住所が遠い者やアタシみたいに持たないものにいたっては、どうしているのかと言えば、借りている宿の住所を使用していたという。それだけでなく、受験者同士のコミュニティもあるらしく、受付の列に並んでいるのはみんなグループ。しかも誰も彼もが仲睦まじい。 (どうしよう、受験できないで不合格とか、ありえない……)  アタシは泣きそうになりながら、模擬戦闘フィールドの壁伝いを行ったり来たりして考えた。
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