第一話 相棒ダウジング

11/16
前へ
/18ページ
次へ
 でも、三十分以上考えたところで、良い考えなんて浮かばなかった。  受付の列は少しずつ減っていく。みな、模擬戦闘フィールドの端に設けられた飲食スペースで自由に飲み食いしている。うらやましい。目の前にごちそうがあるときほど、みじめになることなんてない。 (結局、使わずに終わっちゃうのかな)  アタシは胸ポケットから、謎の男から買い取ったペンデュラムを取り出した。  水晶の透き通るキレイさに少しだけ心が和らいだけど、問題の解決には遠く及ばない。 (どうしたもんかな。一緒に試験を受けてくれる人はいるだろうか) 「……いないだろうなぁ」  アタシはもう一週間風呂にも入ってない上に、働きづめだったから汚い見た目だ。  獣人にはありえない青い毛並みにひ弱な体つきで、仲間にしたいという人はいないだろう。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加