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その子は〈リオコ〉と名乗った。
「受付はこの先だよ」
アタシは今しがた過ぎてきた方向を指さして、流れでそのまま案内することになった。
「あなたは受付の方かしら?」
「ちがうの。アタシ、今日は受験しに来たんだ。でも……」
「でも? でも、なんですの?」
アタシはうつむきながら「受験できなくてさ」と答えた。
「あ、あっちだよ!」
アタシは笑いながら受付の列を指さし、リオコを最後尾に並ばせた。リオコの前には三組ほどが待機している。
「あら、どうしてなの? 受験できないなんてことがあるのかしら?」
リオコはその金色に光る目を丸くさせてアタシに尋ねるものだから、アタシはさっきまで悩んでいたのがバカみたいだと思いながら「ボッチじゃ受けさせてくれないんだー」と平然と答えた。
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