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「通してもらえましたけど……?」
「それはアタシもいたから……なんだけど、良いの?」
アタシは慌てて「なんか、勢いで一緒のグループになっちゃって、ごめんね!」
「はい? なぜ謝るの?」
とるもとりあえず、空腹だったアタシはまず飲食スペースの方からサンドイッチを紙皿にのるだけ盛った。それからまだぼんやりと立っているリオコの元に戻ってきた。
遠目で見ても近くで見ても、リオコは本当にキレイなお嬢さま、という感じだった。
色白の顔に、金色の目がまぶしいし、目尻のほくろがかわいい。白銀の髪は陽の光にきらめいている。黒のドレスは足元まであって、裾から見える皮のブーツはキレイに磨かれている。袖からのぞく手は細い黒のグローブで隠していて、まさに貴族だ。
(なのに、一人?)
アタシは「食べる?」とサンドイッチをリオコに向けた。
(あ、でもアタシの手、汚い――)
思わず紙皿を引っ込めようとしたけれど、リオコは気にせず山のサンドイッチのてっぺんからタマゴのサンドイッチを一つ取った。そしてその小さな口でかじる。
「まあまあ……ええ、おいしいですわね」
この子はアタシが持ったものを汚いと言わない。そういう目で見ない。いや、そもそもアタシ自体を汚いものとしてみなかった。変わった獣人としても見なかった。
(なんか、ヘンな子)
そう思いながら、アタシはうれしくなってサンドイッチをリオコにも譲りつつたくさんほおばった。
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