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「そうだわ。〈相棒〉って受付の方が言ってましたけど、どういうことでしょう?」
「あ、そうだった」
アタシはサンドイッチを勢いよく飲みこんで、オレンジジュースを胃に流し込んだ。
「三日前に、全受験者に通達があったらしいの。なんか、二人以上五人以下のグループを作るようにって」
「あら、それじゃああなたのグループはどうされましたの?」
リオコはとたんにキョロキョロとしだした。その様子がかわいらしくて思わずクスッと笑ってしまった。
「アタシ、グループを作ることすら知らなかったんだ。だから、受けられないかもって思ってて」
するとリオコが微かにほほ笑んだ。
「なら、良かったですわ。私もその通達、もらってませんの」
「え?」
リオコは胸を張って答えた。
「今、ちょっと流浪人をしてまして。受験時の住所は偽りでしたし」
いや、それは堂々と言って良いことじゃないと思う!
けれどリオコは気にせず手を差し出した。
「それではあなたさえ良ければ、改めて私の〈相棒〉となってもらえませんか?」
「そ、それはもちろん! アタシこそだよ」
アタシは両手の平を服にこすりつけてキレイにしてから差し出した。
「アタシはカリン。リオコ、よろしく!」
リオコはその小さな手でアタシの手を優しくもギュッとにぎってくれた。アタシがにぎった彼女の手は、グローブ越しでもひんやりとしていた。
「カリンさん。よろしくですわ」
アタシは「さん付けはやめて欲しいな」と照れながら言った。するとリオコが「わかりましたわ、カリン」とまた小さくほほ笑んだ。
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