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第二話 入試キックオフ
九時。町の鐘が鳴った。と同時に模擬戦闘フィールドの入り口が解放された。
外見はさっきも言ったけれど、大きな体育館のような建物だ。
でも――。
「ま、マジかぁ」
アタシは入った瞬間、ごくりとつばを飲みこんだ。
「わあ、街ですわね」
リオコがアタシの思ったことを口にしてくれた。
そう、街が広がっていたんだ。外見で測るよりずっと大きな街。
「はーいみんな。こっちに集まって」
受付とは別の〈組合〉の人が魔法で宙に浮いて注目を集めた。その人がこの試験の監督者らしい。
「試験内容をお知らせします」
わらわらと集まるのはおよそ百人の男たちばかり。中にはアタシのように獣人もいるし、リオコのような女の子もいる。でもそれはどちらも少数だった。
「ここは模擬戦闘フィールドで、現在架空都市の様相をしています。この広い町の中に七つの宝が隠されている。それを見つけ出したグループは全員が合格者とします。タイムリミットは丸一日。質問がなければ間もなく開始します」
すると男が「宝ってのはどんな姿をしてる? 種類は?」と尋ねた。しかし試験官は笑うだけだった。
「それも含めて探すのがみなさまの試験ですので」
それだけ言うと、姿を消した。
「開始と終了、そして宝が一つ見つかるごとに花火が上がります。それが合図だと思ってください」
声だけが町の中に響きわたった。
「おい、どんな宝だと思う?」
「知らねえ。〈魔宝〉か〈宝石〉じゃね?」
「都市の見かけして模擬ダンジョンじゃねえか」
あちこちからいろんな会話が聞こえてくる。アタシは〈模擬ダンジョン〉の言葉にギョッとした。
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