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「へえ、本当に組合に入りたいの? ボク」
アタシはおどろいて振り返った。するとさっきの安物武器商にいたフードの男がアタシの真後ろに立っていた。
(気配がなかった!)
アタシは慌てながらも、小さくうなずいた。
「そ、そうだけど。っていうか〈ボク〉じゃない、アタシは女だ!」
「そんなの〈組合〉じゃ関係ないだろ?」
男はフフッと笑う。背丈はあまり変わらないけれど、その男から漏れる魔力から強さが尋常じゃないと悟った。膝がかすかに震えてしまう。
「な、何の用だ。からかいにきたのか?」
「まさか。商売だよ」
「商売?」
男はフードを取った。細目に片メガネ、緑の長髪の不思議な男だった。筋肉の付きがそれほどではないのを見ると、魔法使いだろうとアタシは勘付いた。
「さっきの武器商に売ろうと思ったんだけど、気が変わったんだ。ボク……じゃなくてキミ。これ、買わない?」
そう言って男は小さな木箱を取り出した。箱には細工がないようで、中の〈魔宝〉の魔力が漏れ出ていた。
「これ〈魔宝〉じゃないの?」
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