第1話 白いキツネの王子様

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「国産ということにすると、うそをついたことになるね。それは産地偽装といってね、罪に問われるんだ。あやかしの世界の野菜は外国産、といってもいいんだろうけれど――」  東温は販売に気がのらないようだ。 「まあ、ここは売らないのが間違いないか」  最初に言い出した止水も意見を変える。 「あやかしの世界にも法令はあるが、人間の世界はもっとややこしいのだな」 「規律が秩序を生むんだ」  友高は世の条理を説く。  店にとっていいアイデアが生まれても、それが実現できるとは限らない。アイデアを出すより、実現させる方がむずかしい。止水は商売の大変さを知る。働く父の大変さも。
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