第1話 白いキツネの王子様

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「そうしたいけれど、産地をあやかしの世界だって表記するわけにはいかないから、売ることはできないかも」 「友高殿、それはどういうことだ?」 「この国には法律があってね、国民はそれを守らないといけないんだ。それに、東温くんたちとしても、自分たちの存在を僕たち以外の人間に知られるわけにはいかないんじゃない?」 「そうね。あやかしの世界が知れわたったら、日本中が大さわぎになるわ。マスコミが二階の時空ずい道に押しかけるかも。うちの店としても迷惑よ」  止水はそれを想像する。いやだ、と思った。 「ならば、この国のものということにして売ればよい」
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