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その日の夜のはじめ頃。澄村家の食卓の席にはあやかしの世界の野菜が使われた料理がならぶ。炊いた米も東温にもらったものだ。
「あら、このごはん、すごくおいしいわね。野菜もふだん食べているものより上質だわ」
世利果はとても気に入ったようだ。店に立ち入らない世利果にはあやかしの存在を教えていない。米や野菜は知人にもらった、とだけ伝えた。隠したいわけではなく、説明がむずかしいので、東温たちと直接会った時に教えるつもりだ。
「あーあ。これが店で販売できていたら、かなりの利益になっていたのに。うちのお店の売れ筋商品になっていたかも」
止水はぼやく。実際に食べてみて、あやかしの世界の食べ物は人間界のよりおいしいと感じていた。
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