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本日のメインディッシュを探していたら、カトブレパスが木の横でごろんと横になっていた。近づいても逃げる様子はない。よく見ると、金リンゴの実が落ちている。おおかた発酵した金リンゴをたらふく食べて、酔っ払ったのだろう。息にさえ注意すれば、とどめを刺すのは容易だった。
解体したら、全身丸ごと宿の近くの料理屋に持ち込む。店主は呪い抜きをした肉をじっくり煮込んで、シチューを出してくれた。濃厚なデミグラスソースをまとった柔らかな肉は、噛めば噛むほど旨味が出る。酒は進み話も弾む。テーブルから笑い声が上がれば、厨房に置かれたままのカトブレパスの頭も笑ったように見えた。そばにいた見習いが野菜を持ったまま石になった。
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