人面木

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人面木

舞台は、都内某のとある公園。 そこには、人の顔が浮かび上がる奇妙な木があると噂され…… 時々若者などが心霊スポットとして訪れる場所である。 _________________________________________ 俺の名前は【一ノ瀬タケル】ごくごく普通のサラリーマン。 これと言って趣味のない俺は、仕事帰りにある近くの公園でコンビニで買った缶ビールをベンチに座って飲むのが日課になっていた。 今日は、休日で早起きをしたがとくに やる事が無いので朝からコンビニで大量に買った缶ビールを片手に、いつもの公園に来ていた。 いつもの様にベンチに座り缶ビールを飲んでいると…… 高校生くらいの男女のグループの声が聞こえて来た。 「ねぇ〜ここでしょ!? シンヤが言っていた人の顔が浮かび上がる木がある公園って!」 「ベンチの真正面の木らしいから早く見にいこうぜ!」 俺は、そんな高校生らしきグループの言葉を聞きながら……ぼぉ〜と、ビールを飲んでいた。 そして、そのグループは走って木に向かうと…… 「これの事かな……?」 「そうじゃねーか?」 「本当だ! 人の顔に見える……気持ちわり〜」 そんな事を言いながら騒いでいると1人の男の子が、話し始めた。 「実は、あの話には続きがあって…… 夜になると、この木に浮かび上がった顔のお化けが木の前に現れて手招きをして来るらしいぜ! そして、この木下に引き摺り込むんだってよ!」 「ぇえー! やだ〜怖〜い。」 「絶対に夜には近づかない様にする。」 それを聞いた僕は…… 『そんな訳ねぇ〜だろ! 俺は、毎晩その木の前で酒を飲んでるが そんなもん見た事一度もねぇーよ!』 などと、心の中で長々とツッコミを入れてしまった。 その後、男女のグループは 「お化けが出たー!!!」 などと騒ぎながら、その場から走っていった。 『こんなに朝からお化けなんて出る訳ねぇ〜だろ!』と また軽くツッコミを入れると 「おい! (あん)ちゃん。」 いきなり声をかけられて、少しビックリしてしまった。 そして、声のする方に振り向くと…… そこには、いかにもと思われる少し薄汚れたオッサンが立っていた。 「……何ですか?」 「実はな……そこはオイラの昼寝専用のベンチなんだよ」 「はぁ……」 「でもな、良いんだ! (あん)ちゃんに譲ってやるからビールを一本、貰えないか!?」 「……はぁ…………まぁ、良いですよ。 飲みきれませんから」 そう言って、買いすぎた数本のビールをオッサンに渡すと 「おおーー! こんなにくれるのか!? ありがとな兄ちゃん。 この礼は、きっとするから!!! オイラは、このベンチの後ろの林でソロキャンプをして生活をしているから困った時は、訪ねて来てくれ」 物はいい様だなと思いながらも 「分かりました。」 そう適当に流して、地べたに座ってビールを飲むオッサンと少し話すと家に帰った。 それから俺は、あの公園には行かなくなった。 それは、お化け怖いからでもオッサンが居るから嫌になったからでも無い。 俺の前に、結婚を前提として お付き合いをしたい女性が現れたからだ。 彼女の名前は、ジュンコさん 雨の日に、悲しげな表情で雨宿りをしている姿に惹かれて声をかけた。 それから何度か食事やデートを重ねて 俺は、今日! 告白しようと考えていた。 雰囲気の良い店での彼女との食事は、緊張のせいか全く味がしなかった。 そして、これまた緊張のせいか飲み過ぎてしまった。 そんな僕は、酔っ払いながら彼女とトボトボ歩いていると いつもの公園の前に来ていた。 俺は、酔っ払いながらも彼女を誘い公園のベンチに2人で座ると 静かな沈黙が流れた後に、俺は何か話す話題は無いかと探していると とても綺麗な、まん丸の月が目に入って来た。 俺は思わず 「月が綺麗ですね。」 そう話すと、彼女は少し顔を赤らめた 俺は『?』 そう思ったが…… ある偉人の言葉を思い返し、ハッ! とした。 そして、その後 言葉を続けた。 「初めて見た時から素敵な人だと思っていました。 良かったら結婚を前提に付き合ってください!」 結婚は重いかとか思われそうだが…… もう言ってしまった。 あとは、彼女の答えを待つだけとなった。 「答えを言う前に、一つ確認しておきたい事があるんです。」 「はい! 何でも言ってください。 嫌な所は、直します」 「私は、とても嫉妬深くて嘘や裏切りが とても嫌いです。」 『浮気とかの事を言っているのだろうか? 俺がそんな事をする訳がない』 「なので、私を騙した過去の思い出達は あの木の下に埋まっております。」 『元彼との思い出は、地面に埋めるタイプか…… まぁ、引きずるタイプよりは良いと思う』 「タケルさん…… この事は2人だけの秘密ですよ。 私を絶対に裏切らないで下さいね。」 『それを破ったら俺との思い出も地面の下に埋まってしまうのか…… しかーし! 俺は、そんな事にには絶対にならない!』 「分かりました。誓います! 俺は、ジュンコさんを絶対に裏切りません」 「嬉しい!」 そうして、俺の告白は成功して! 付き合う事になった。 そして、付き合った記念に俺は彼女に部屋の合鍵を渡すと…… 他愛も無い話をした後に 彼女を駅まで送るり 「また明日!」と 約束をして家に帰えった。 そして、家に着いた俺は 酔っていた事もありテレビをつけたまま寝てしまった。 そして、翌朝テレビから流れるニュースの声で目を覚ました。 「こちらは現場の公園です! 昨夜未明、住所不明、無職の男性の通報により警察が公園の木の下を調べると複数の人の死体が発見されました……」 「…………あれ? これ、あの公園じゃ……」 そして、俺は昨日のジュンコさんの言葉がフラッシュバックする。 「……えっ……? あれ…… 昨日の話って…………2人だけの秘密…… あれって、本当の話し……で……」 『あの話を誰かに聞かれていたのか!? でも、普通信じるか! てか、俺が通報したと思われないか……』 ピンポーン……ピンポーン……ピンポーン…… インターホンの音が鳴り響く…… ピンポーン……ピンポーン………………… ガチャ……… *** ガヤガヤ……ガヤガヤ…… 騒がしい街音…… 「ねぇ〜ここでしょう。 シンヤが新たに見つけた人の顔が浮かび上がっている木があるって言う場所は……」 「に……してもシンヤは、よくこんなスポットを見つけるよなぁ〜……」 「そんな事は良いから早く見に行こう!」 「そうだな。早速見に行くか!」 そうして、2人が走り出そうとすると 「なぁ、お前ら……一つ聞いて良いか?」 「えっ?」 「なに?」 「お前らがいつも話しているシンヤって、誰?」 「………………。」
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