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3章 足音…
沙絵が本社に出勤したある日、久が休みで他の経理担当が会社のお金の流れを確認した。
「社長。最近、大きな買い物はされていますか?」
「してないけど?どうしたの?」
「いえ…だったらいいのですが…」
続けて経理は「おかしいな…」とぼやきながら首を傾げていたので、どうしたのかと沙絵は尋ねた。
「会社の資金が数百万単位で少しずつ減っているんです。今月に入って突然起こりだしたので、社長が何か使われたのかと思いまして」
急にお金が減っていると聞いて、沙絵は慌ててパソコンを見た。
パソコンの画面を見ると、確かに、頻繁に数百万ずつお金が下されている履歴がある。
覚えのない出金に沙絵はパニックを起こし始めた。
「これ、見つけたの今日よね?」
「はい。俵さんが担当になってからも、俵さんがお休みされる時は同じようにチェックしていましたが…これはおかしすぎます。俵さんから何も聞いていなかったんですか?」
「何も聞いてないわ…。1度俵くんに聞いてみるわね。それと、銀行のほうにも行ってくるわ」
「お願いします。早い方が良いと思いますので」
沙絵の体はプルプルと震えだし、久がお金を下しているかもしれないと思うと気が気ではなかった。
今日のところは大丈夫だが、さっき見た出金履歴はどう見ても久が出勤している日に当たっていた。
沙絵は最悪なことも考えていたが、それだけはないと願いたかった。
会社のお金がなくなってしまえば、経営ができなくなってしまう。
慌てて会社を出て幹部を連れて銀行へ向かった。
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