4章 証拠

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4章 証拠

ジャッカルの社長室に、役員たちが集まり、カレンゴの調査結果報告が行われていた。 タブレットを広げ、役員の一人、高橋から報告が上がった。 「先に結論から申し上げますと、カレンゴはペーパーカンパニーで、どうやらモスアズだけでなく、複数の会社や自営業が法人口座からお金を引き出すという被害が相次いで発生していました」 龍彦は「はぁー」と大きく息を吐いた。 続けて高橋は淡々と報告を続けた。 「カレンゴは法人登記はされていました。調査員が登記された住所に足を運ぶと、古いアパートで30代後半くらいの男性が出てきたそうです」 調査員が遠目から撮った写真には、ボサボサの黒髪で寝起きのような表情をした男がドア越しに映っていた。 ジャッカルの幹部の森本が、証拠写真をテーブルに広げた。 サングラスの向こう側には怒りの感情が薄っすらと見え隠れしている。 「こいつ、とカレンゴはどういう関係だ」 龍彦は思わず写真を手に取り、じっと見ながら役員たちに尋ねた。 すると、高橋がタブレットを見ながら報告をした。 「…ネットの掲示板で俵久と知り合い、多額のお金をやる代わりにカレンゴの登記に名前を載せてほしいと言われたそうです。これまでも俵久(たわらひさし)から、かなりのお金を受け取っていたそうです。この男はお金に困っていたようで、簡単なバイト感覚でやったみたですよ」
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